カテゴリー, 暖かくそして涼しく/気密の役割
木の家・自然な家で、あなたの暮らしを楽しみませんか?
東京・多摩エリアの「つくり家工務店」です。
今回は、気密についてお話していきます。
気密とは何でしょう?
平たく言うと、家の室内外で隙間をなくすことです。
お客様とお話していて感じるのは、実は結構たくさんの人が気密について誤解しています。
その多くが、この「隙間をなくす」というところに引っかかるようです。
たしかに私たちは、窓を開けて通風したり換気するわけで、隙間をなくすとはまさにそれに逆行してますよね。
今日は、そんな誤解を与えかねない気密の正しい役割、効果をわかりやすく説明したいと思います。
隙間をなくし気密を高めるのは、温度の安定のため
まず、何のために隙間をなくす必要があるのでしょうか?
それは家の内外の空気の出入りをなくすためです。
夏でも冬でも、家の内外では温度差があります。
断熱のところでもお話ししましたが、暖かい空気は冷たい空気のほうへ流れていきます。
温度差が激しい夏や冬に、外からの空気が家の中に入ってきたらどうなるか?
夏は、熱い空気が外から室内へと流れ込み、冬は暖めた室内の空気が外へと逃げてしまいます。
つまり、家の中の温度を安定させたいのだけれど、外気がそれを邪魔しようとするのです。
この邪魔者である外気を入れないようにするために、家の隙間をなくすということをするのです。
よくある質問①「空気は常に流れているほうが良いのでは?」
気密についてよくある質問が、「空気は常に流れているほうが良いのでは?」というものです。
確かに空気の流れがないと空気がよどみ、二酸化炭素をはじめとして汚染物質が室内に蓄積されていきます。
それは決してよいことではありません。
そこで、この役目は換気扇で強制的に行うというのが、現在の家づくりの考え方です。 気密をすることで空気が流れない状態をつくり、外気の影響を受けず、温度差がない環境をつくる。
家じゅうの温度が安定しているのです。
「気密」と「換気」という分業体制で、家の中の空気環境を健全にしているとイメージしてください。
よくある質問②「気密が良いと結露しやすいのでは?」
このような質問もよく聞きます。
隙間があったほうが湿気が抜けるのではないかとイメージされるからのようです。
しかし答えはむしろ逆。
隙間があると室内に湿気を呼び込んでしまい、結露が増えてしまうのです。
そもそも結露とは、湿った空気が中と外の温度差が生じることで冷やされ、水滴となることで発生するもの。
気密することで湿った空気の流入を抑え、断熱で温度差をなくすことで、結露の発生を防いでいるのです。
断熱と気密は、セットで行うことで室内が快適に
これまで説明したとおり、断熱と気密は、どちらも限りなく100%に近い施工をすることで、はじめて機能を発揮します。
気密で空気の出入りを止め、断熱で空気の温度差をなくすのです。
その環境が人間にとって快適で、ストレスがなく、冷暖房機の効率の良い運転を引き出すのです。
効率の良い運転は、当然お財布にも優しくなりますよね。
気密を高めることのメリット・デメリット
気密をすることで何が良いのか?何が悪いのか?
より具体的に、気密のメリットデメリットをお伝えします。
気密のメリットは、室内環境が快適に保てること
気密をすることで家じゅうの隙間がなくなり、外気が入ってこなくなります。
つまり外気の影響を受けにくくしてくれるのです。
もちろん、断熱があることが前提として必要です。
そうすることで、室内で稼働させるエアコンもロスなく、短い時間、少しのエネルギーで快適温度をキープすることができるわけです。
ロスが少ないので、当然ランニングコストは少なくて済みます。
また、湿った外気が入ってこないということで結露を引き起こす水分がそれだけ減ります。
結露、さらにはカビの発生を抑えることになります。
気密のデメリットは、断熱と換気の仕組みが必要なこと
これまでお話してきたように、気密とは隙間をなくすことであり、それは空気の流れを止めることになります。
空気の流れを止めれば、空気はその場に滞ります。
気温が一定になることはいいのですが、空気そのものは汚れてきます。
二酸化炭素であったり、匂いであったり、アレルギー物質、ホルムアルデヒドなど有害物質が増えていきます。
これらのデメリットは、換気をすることで解決していきます。
前の項でもお話しましたが、家の中と外の温度差をなくすのは、断熱とセットで機能させることで成り立つ話です。
そしてそれは、空気の温度についてのみの話です。
空気の質については、「換気」で対応するということが現在の家づくりの考え方です。
気密を否定的に考える方は、この空気の温度と質をごちゃ混ぜにしてしまっているのかもしれません。
気密を保つために、どんな工事をするの?
では、実際にどのようにして気密を保つようにしているのかもお話します。
「気密とは隙間をなくすこと」とお話ししました。
室内外の空気の流れを止めるために、次のような施工をします。
気密シートを外部に接する部分すべてに施工する
湿気を通さない気密シートを施工します。
充填断熱を施す場合、断熱材の室内側に貼り、特に室内側からの湿気を壁内に通さないようにします。
外部に接する部分のすべて(天井、壁)を、専用テープを使って隙間ができないように貼り付けていきます。
さらに当社では、外部の構造用面材に張る透湿防水シートもテープ等でしっかり隙間ができないように張ります。
これにより壁体内での結露を防ぐことができます。
窓周りの気密を高めるため、サッシとの間の隙間を埋める
気密が取りにくい場所として、窓などの開口部があります。
そもそもサッシの取付に支障をきたさないように、余裕をもって開口してあるからです。
つまり最初から、建物の躯体とサッシの間にある程度大きい隙間が存在するのです。
そこで気密シートに加え、隙間にスポンジのようなテープや発泡ウレタンを吹き付けることで気密を保ちます。
気密測定をし、求められる水準をキープ
気密の施工が終了したら、専用の機械で気密測定をやってもらいます。
気密の精度を確認するためのもので、C値という単位で表します。
東京周辺ではこの値の目標値が5.0だったりするのですが、断熱が有効に働くためには最低でも1.0以下が必要とされます。当社では0.3を基準にして施工しております。
いかがでしょうか?
気密の具体的な方法についてご理解いただけましたか?
気密は、断熱には欠かせないもの。
2つが合わさってはじめて効果が生まれるのです。
そして、結露は気密によって軽減されるものであることを知っておいてください。
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