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  • 執筆者の写真Kawabe Fumi

どうして大工になったんだろう?5, カナダで出会ったログハウス3

カテゴリー 私の大工の履歴書


木の家・自然な家で、あなたの暮らしを楽しみませんか?

東京・多摩エリアの「つくり家工務店」です





木工作業が夢中になれるものだと初めて知る



ログビルダー、マイルスとの森の中での暮らしは、日本では到底味わうことができないことで、自分にしか体験できないことでもあり、私の中では充実した日々でした。


しかし、夏にはユーコン川を下るというメインイベントが待っているので、マイルスのところにいつまでも居候してるわけにもいきません。


3ヶ月ほどいたのでしょうか。


ログハウスを建てたわけではないのですが、チェーンソーワークという夢中になれるものに出会い、ほぼ一人で没頭していました。


時間を忘れ、心を無にして取り組むことができた。


器用ではないので、時間もかかるし、お世辞にも上手いとは言い難い。


でも、自分の居場所なのかもしれないと初めて感じられた経験でした。


人と関わるという点での経験は乏しかったのですが、その分、自分と向き合う時間が豊かだったと記憶しています。


散々、マイルスには振り回されましたが、どこの馬の骨ともわからない日本人である私をなんの疑いもなく受け入れてくれたことに感謝でしかありません。


この歳まで大工として生きてこれたきっかけは、間違いなく、この場所、この時間なのです。





人生の支えとなってるユーコン川旅



7月にバンクーバーアイランドを旅立った私は、ユーコン川の起点、ホワイトホースを目指します。


メインテーマからは少し外れてしまうので詳細は書きませんが、カヌーでのこの川旅が私のそれ以降の人生に大きな影響を与えてくれました。


2週間かけて750キロほどをカヌーで下ったわけですが、途中、人が住む町は1か所だけ。


人工的なものを一切感じない大自然。


そのスケールの大きさ。


どんなに大きな声で歌っても誰にも文句は言われません。


時期的にちょうど夏から秋へと一気に変わる瞬間で、両岸の木々が日に日に紅葉していく様は感動でしかありませんでした。


その中に放り込まれた自分自身のちっぽけさ。


大自然の前では何も太刀打ちできないのです。


旅が終わるころには達観してしまって、お坊さんのように悟りを開いたような心境になってしまいました。


自然と共生していくには、まず、この大自然をリスペクトし、全てをゆだねる。


無理をしない。


日程、コース、その他諸々を自分で決める。


否が応でも自立しなければならず、自分の選択に責任を取らなければなりません。


この時、本当に解放された気持ちになりました。


ただ、この時点ではこの価値観をいつまでも大切にすべきこととは気づいておらず、楽しければいいと、その一心でした。



レジェンドのアラン・マッキーさんが遊びに来た


再びバンクーバーアイランドへ~仕事としての建築を意識する



かけがえのない経験を終えて、休む間もなく、またバンクーバーアイランドへ戻ってきました。


ここには、いくつものログハウスをつくる会社があり、その中に、日本人が経営しているところがありました。


マイルスのところを出るタイミングで、オーナーの大さんに声をかけてもらっていたのです。


「モデルハウスをみんなでつくるからこないか?」と。


私のようにログハウスをつくってみたいという日本人が5〜6人集まって、大さんに教えてもらいながらつくるというプロジェクトです。


「はい!」と二つ返事で参加させてもらうことにしました。


大さんの家にみんなで間借りして、交代で食事をつくったり、掃除したりと寮生活のようで楽しくワイワイ過ごすことができました。


まさか、このカナダで日本人だけの大人数で過ごすことになるとは思いもしなかったのですが、この先の未来、夢を毎晩語り合い、みんなから刺激をもらったのは言うまでもありません。


大さんは、日本の道具にも興味を持ち、実際に使っていました。


そしてそれらが、いかに優れているかを教わりました。


日本の刃物がよく切れること。


また、欧米の手ののこぎりは押して切るが、日本ののこぎりは引いて切る。


引いた方がコントロールできるし、力も入る。


理にかなった道具、技術に感心してしまいました。


この期に及んで、初めて日本の建築、技術が優れていることを知りました。



この頃になると、単なる楽しみの延長から仕事としての建築というものを意識するようになっていました。


しかし、ログハウスづくりは楽しかったのですが、他の人と比べて、自分がいかに劣っているか、不器用でのろまでこの仕事は向いてないのではないかと劣等感も感じていました。


この時から、人と同じことをやってるだけでは足りないのだと自覚するようになりました。


この自覚は、その後の自分の成長に大きく役立ってくれたなぁと、この歳になって実感します。



一方で、湿気の多い日本でのログハウス建築は無理があるなぁと感じていた私としては、日本の大工という働き方に興味を持つことになるというのは自然な流れだったのかもしれません。


1年近くのカナダでの建築体験が、日本の建築を知るきっかけになるという不思議な経験でした。


こうして、なんとなく自分の人生の先に目指すべきものが見えてきたことで、カナダから帰国してもいいかなと踏ん切りがつきました。


1年半のカナダ滞在が私の人生のなかでこんなにも大きなものになるとは、当時は、思いもしませんでした。



「また、何年かしたら戻ってきたいなぁ」ぐらいの感覚だった気がします。


なにか、本気で始めたらそんなことはなかなかできないことも当時はわからなかったですね。



というわけで帰国して早々に大工の親方を探し始めるのです。


まさに勢いだけで。。。(苦笑)



家づくり、どこから手を付けていいかわからない方へ


そんなあなたにぴったりの小冊子をつくりました。





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