top of page

大工の家だからこそ、妥協できなかった3つのポイント

  • 執筆者の写真: Kawabe Fumi
    Kawabe Fumi
  • 1月15日
  • 読了時間: 4分

自分の家を建てると決めた時、僕は思いました。

「大工として、そして施主として、どこまでやれるんだろう」と。

お客さんの家では、どうしても予算やスケジュール、さまざまな制約があります。でも今回は、自分が本当に大切だと思うことを、妥協なくやれる。

そう思っていたんですが、実際に始めてみると、意外なことに気づきました。

思ったより、迷うんだな

プロとして何百という選択をしてきた僕が、自分の家になると、こんなに迷うのか、と。

これは正直、驚きでした。

今回の経験で、改めて気づかされたことがあります。

それは、お客さんに「できるだけ自分で決めてもらった方がいい」と思ってきたけれど、実は、「ある程度、選択肢を絞ってあげることの方が親切なのかもしれない」ということ。

全部にこだわるということは、人間あんまりないんですよね。

本当にこだわってることだったら、こちらが何も言わなくても、たぶんお客さんの方から言ってくださる。逆に、曖昧なことは曖昧なまま。それはそれでいいんだと思います。

そんな気づきを得ながら、僕が「ここだけは絶対に妥協できない」と決めたポイントが3つあります。

1. 断熱・気密性能は、最高レベルで

まず一つ目は、断熱・気密性能です。

僕が掲げている基本仕様は、UA値0.3、C値0.3。これを、自分の家でやらないわけにはいきません。

正直言って、ここで予算が大幅にオーバーしました。

でも、モデルハウスとして説得力を持たせるには、どうしても必要だった。

結果、UA値は0.3、C値は0.1を達成できました。C値0.1は、正直ホッとしています。

真冬の今でも、朝に玄関を開けて中に入ると、モワっと暖かいんですよ。建築中だから夜に暖房なんてつけてないのに。

2階は基本的に、冬でも暖房はいらないですね。晴れた日は日光だけで暑いくらい。

自分でも「エアコン1台で家を1軒回せる」と思って設計したんですが、実際に体感すると、「本当に大丈夫なんだ」という確信に変わりました。

2. 自然素材は、遠慮なく全面的に

二つ目は、自然素材です。

お客さんの家では、予算の関係でビニールクロスを使うこともあります。それは「しょうがないよね」という妥協なんです。

でも今回は、遠慮なく自分の好きなものを推し進めました。

構造材は、集成材を使わず無垢材だけ。床材は西南桜、ナラ材、パイン材、ハードメープルと、4種類を部屋ごとに使い分けています。

壁は、2階リビングと寝室にサンゴ壁。これは妻の希望で、初めて使う材料でした。珪藻土に似た調湿機能があるんですが、匂いがないのがいいですね。

他の部屋は紙クロス。オガファーザーという、普段から使っている素材です。これも湿気を吸ってくれるので、洗濯物を室内干しにしたときに乾きやすいという声をいただいています。

天井は全部すのこにしました。これはちょっと一般的には提案しないやり方ですけど、やってみたかった実験です。

家具類だけはコストを下げるために、ツキ板を使いましたが、それ以外は徹底的に無垢材です。

正直、中途半端なものが使えなくなってしまった。こだわったがゆえに、予算はかかりましたけどね。

3. 耐震性能は、基本を徹底的に

三つ目は、耐震性能です。

これは、僕がいつも大切にしている基本中の基本。

設計で耐震等級3を取ってもらって、それをしっかり施工する。それ以上でも以下でもありません。

制震テープを使おうかとも考えたんですが、1棟で50万くらいかかってしまう。今回はそこまではいいかなと諦めました。

でも、基本はしっかり。

2階にリビングを持ってきて、1階を個室にする間取りにしたのも、構造的な理由があります。

1階に細かく間仕切りすることで柱が増えて、下の方に重心が来る。2階はリビングで開放的になるので軽くなる。家全体で考えると、とても安定した形になるんです。

意外と割り切った部分も

逆に、意外とすぐ諦めた部分もあります。

階段です。

変わった階段を作ろうと思ったんですけど、物理的な制約には勝てなかった。間取りを優先すると、挑戦したい形は無理だなとわかり、諦めました。

お風呂も、在来工法で作ることは諦めました。水漏れのリスクを考えると、ユニットバスの方が安心。ここは文明の利器を使うことにしました。

キッチンのレンジフード周りも、当初はタイルにしようと思ったんですが、妻に反対されて。掃除のしやすさを考えると、キッチンパネルには勝てません。

プロとして、何を妥協して、何を妥協しないか。

その判断基準を、自分の家で実践できたのは、大きな財産になりました。

次回は、「見えなくなる部分にこそ、大工の本気が出る」構造へのこだわりについて、もっと詳しくお話しします。


2026年2月、この自邸の完成見学会を開催予定です。 詳細が決まり次第、またお知らせします。 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━




 
 
 

コメント


bottom of page