構造見学会レポート記事
- Kawabe Fumi
- 2025年12月27日
- 読了時間: 4分
構造見学会を終えて。参加者の声と、大工として改めて感じたこと

2025年11月9日(日)、モデルハウスとなる自邸(通称「すのこハウス」)の構造見学会を開催しました。あいにくの天気のなか、計6組の皆さまにお越しいただきました。外部から内部へとご案内し、普段は壁や天井に隠れて見えなくなってしまう構造部分について、説明をさせていただきました。
参加された方々の反応を通じて、改めて気づかされたことがたくさんありました。
今回はその様子をお伝えしたいと思います。
■参加者が注目されたこと
今回の見学会では、特に断熱・気密性能に関心を持たれる方が多かったです。実物で作った模型を使いながら説明したのですが、多くの方が「断熱・気密は、こんなに重要だったんですね」と驚かれていました。
特に手応えを感じたのは、高気密住宅における換気システムの重要性を身近な例えで説明した部分です。高気密と換気はセットで考えるべきという点に、皆さん納得された様子でした。
自然素材についても好評でした。無垢材の香りが「癒しにつながる」というお声をいただいたり、木の風合いそのものを気に入っていただけたのは嬉しかったですね。
一方で、外壁の木材使用については「腐らないか」という質問も多くいただきました。透湿防水シートの重要性や、交換しやすい設計であることを丁寧に説明させていただきました。
アンケートでは、多くの方が「大工棟梁への安心感」を選択されていたのも印象的でした。古くからの知人からは「あなたらしい仕事の集大成だ」と、木や自然素材の使い方、几帳面な作り込みを評価していただき、本当に励みになりました。
■お客様の言葉から新たな取り組みへ
いただいた声のなかで印象に残ったのは、理論的で鋭い質問をされる60代のご夫婦でした。新築のご依頼をいただいているのですが、理由を伺うと「理由はわからないが、あなたがいい」と言っていただけて。こういう言葉は、大工冥利に尽きますね。
このご夫婦は特に換気システムに強い関心を示され、自作のシステムを細かく確認されていました。各部屋で個別に風量を調整する機能について質問をいただいたのですが、現状はダクトの太さで全体のバランスを取っているものの、個別の微調整については今後の課題だなと気づかされました。
こうしてお客様と直接対話することが、最も重要な学びの機会なんだと実感します。お客様の関心を知ることで、提案の精度が上がっていく。家づくりは一方通行ではなく、対話の中で育てていくものなんだと、改めて感じました。
■大工として改めて感じたこと
今回の見学会で、もうひとつ大きな気づきがありました。それは、規格外の木材を下地材として天井に用いたことからの気づきです。意図せず強い迫力と存在感が生まれたのですが、来場者からは節の有無など素材のグレードについての指摘はありませんでした。
正直に言うと、大工になった当初は「節のない綺麗な木材が良い」と考えていたんです。でも、来場者の皆さんは節があろうとなかろうと、それを「自然の木」として受け入れてくださっていました。
この経験を通じて、高価な材料を使わなくても良いものは作れる。素材の「本質」を追求することこそが、自分のやりたいことなんだと再認識しました。
そしてもうひとつ。お客様との対話を通じて、自分の仕事内容や考えが周囲に十分に伝わっていないことにも気づきました。これからはより積極的に発信していく必要があるなと。
住宅はあくまでお客様のものであって、自分の「作品」ではありません。
お客様の要望と自分の基本仕様をどう両立させるか。
「何でもやります」ではなく、「やらないこと」「できないこと」を明確にしつつ、お客様
の要望の背景を理解し、主体的な選択であれば尊重する。そういう正直なコミュニケーションが、長期的な信頼関係につながるんだと思います。
■これからの家づくり
構造見学会を通じて、高い性能がもたらす具体的な生活上のメリット、たとえば「室内干しでも乾きやすい」といった身近なシーンと結びつけて伝えることの大切さも実感しました。
これからも正直に、お客様と対話しながら、一緒に家を作り上げていく姿勢を大切にしていきたいと思います。また機会があれば構造見学会を開催しますので、ぜひお気軽にお越しください。





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