
2023年11月に完成した清水邸。都市部にある3階建ての中古住宅を購入され、家族構成に合わせてリフォームをされました。
リフォームの経緯や住み心地、リフォームを振り返っての感想を清水さんご夫妻にインタビューしました。
前編は、清水さんがリフォームを決意された経緯やリフォームで希望したこと、満足度などを紹介します。
リフォームのきっかけは、母との同居を決めたことでした
河辺:
最初に、清水さんの家族構成を教えてもらっていいですか?
清水夫:
はい。夫婦と子どもが4人、85歳になる妻の母親と全部で7人です。
私が単身赴任で、あと1人娘が就職して外にいるので、普段は5人だったり6人だったりで。
でも、集まると7人のときもあるんですよね。そうなると、ちょっと狭くなっちゃうって感じですよね。
河辺:
単身赴任といっても、ひと月のうちの半分から10日ぐらいは、こちらにいるんですよね。
清水夫 :
はい。それでも、全然不自由な感じはないですね。
河辺:
奥さんも、パートに出たりとかされてるんですよね?
清水妻 (Mさん):
そうですね。はい。週4日は働いてます。
河辺:
リフォーム工事をされる前のお話なんですけど、それまでは関西の方にいらっしゃって。
清水夫:
ずっと福井にいて、娘が順次こっちに出てきたので、東京でまず賃貸に住んでました。そこに1年ぐらいいるときに、母親をやっぱ引き取ろうと。
母は85年ずっと大阪にいたんですけれども、それを決めたのが、大きかったね。
引き取るんだったら、もう家を買って、リフォームして住みやすいようにしようと決めて、予算をしだしたのは、ちょうど2年ぐらい前ですかね。
河辺:
お母様は大阪から東京へ来ることに関して、そんなに抵抗とかはなかったですか?。
清水夫:
最初は、一緒に住むのはね……。でも途中で、逆に住みたいっていう感じになって。
清水妻:
特に何も、不安も何もなく。
テーマは、オープンな明るいところで過ごしたい
河辺:
(この家が)1階、2階、3階っていうふうに、ある程度分かれて住めるっていうのも、ありますね。
清水夫:
今まで1人でお住まいだったので、ある程度、自由なスペースをしっかり持ってあげないと不自由と思って。今回の1階のリフォームの一つの大きな願いでありますね。
1階はちょっと暗い印象があったんだよ、だからできるだけ明るくっていうのが一つ。それと、お風呂と洗面所周りをできるだけ広くする。何かそういういくつかのテーマがあったんじゃない?
清水妻 :
テーマっていうか、ひろ~いオープンなところ、明るいところで過ごしたいなというね。最初はほら、アイランドキッチンへのあこがれとか、いろいろあったけど。
清水夫 :
2階はもう本当にMが一番使いやすい大空間で、窓も広くして(と考えていました)。
台所には金に糸目をつけないと心に決めていたので、2階は本当にみのりが一番心地いいように、やりたいようにやれ、みたいな感じでしたね。
河辺:
キッチンは、やっぱりこちらに作って良かったですよね。
清水夫:
私はずっとそう思ってます。
清水妻:
あと、この出窓、ほんとに作ってくれてよかった。この窓、結構お金かかるんじゃないですか。(だから)最初はとにかくやめようと。でも、これは本当に嬉しい。
これは後で追加して、本当に嬉しい。やるのとないのとでは大違い。
河辺:
元々ここには、既成の窓がついてたんですよね。

リフォーム前:キッチンのシンクの前に出窓がついていました。

開口部を活かし、出窓部分を外側に広げました(施工中写真)。

完成後
清水夫:キッチンの背面の造作収納から、そういうの全部外して作りましたよね。開口は生かしながら。そういう意味では、2階はもう本当にMが一番快適だよねっていうこと。それはもう、今回のリフォーム最大の狙いですけどね。

リフォーム前:キッチンは壁でリビング・ダイニングと仕切られていました。

既存の壁、柱を除き、梁で補強。キッチン空間を広げました。

清水妻:ほら、1回、ここの壁がね、取られへんとかいう話にもなったし。どういうところの壁を残すとか、ここをとろうとか。けど、(この壁を)取ってもらって本当に良かった。
清水夫:2階は本当に思う通りにした。あと3階はそんなに変えず、お金かけずに最低限に。最後まで残った布団置き場ぐらいでしたね。
清水妻:押し入れの奥は、グッドアイディア。本当に良かった。
希望通りにできるかどうかをいちばん重視しました
河辺 :
どういうところを重視されてましたか。
清水夫:
元々の家も、使い勝手は悪くはないとは思ってはいたんだけども、この限られた間取りで家族も多いし、微妙にどうしても変えたい部分があって。
まず、できるできない、やっていただけるのかどうかっていうところの判断と、あともう一つはコストの問題ですよね。
清水妻:
だいたい希望を言って、全部100パーできるって言ってくれたのは河辺さんだけでしたね。
河辺:
100%はないですけれどもね。いやこれはやっちゃ駄目だよっていうところはやらない
清水夫:
頭からNOじゃなくて、ちょっと相談で、この壁を残してやりましょうとか、ここまでしましょうとか、何かその辺があるよね。
清水妻 :
ここのベランダとか、キッチンの仕切りの壁を抜くとか、ああいうとこら辺がね、他のところではちょっとできないって。
河辺:
面倒って思っちゃうんでしょうね、特にメーカーとかだと。やはり規格的なものを作っちゃうので、それから外れるものはできるだけ避けたがるんでね。そういうところがあるかもしれないっすね。
清水夫:
いや本当に、できるだけキッチンは開口を取りたかった。広く大きい大空間にしたかったというのと、あとダイニングの窓を大きくして、ベランダを伸ばしたりとか。なんか本当に細々と面倒くさい注文をいっぱいさせてもらったなって。そういうのを全部ね、応えてもらえた。


リフォーム前:ダイニングの掃き出し窓とベランダ

既存のバルコニーの構造を活かしながら、杉材でウッドデッキを設置。外に40センチほど張り出して広げました。

屋根も古臭いものがついていたので、撤去し、新規にポリカーボネート板平板で床と同材の骨組みでつくりました。

河辺:ある意味、そこがうちとしては真骨頂じゃないですけども、どれだけね、お客さんの希望に寄り添えるかっていうところを大切にしているので。そういう意味では、打ち合わせとかもその分いろいろ長くなっちゃったりとか、紆余曲折みたいなところはあったと思います。
清水夫:条件が毎回ね、言ってることが変わってたっていうか。たぶん見積もりだけでも、7、8ぐらいまでいってるんですけど。
河辺 :
そんくらいいきましたね、うん。
清水夫:
パソコンに全部入ってますよ。
河辺さんのできるできないの判断もあったけど、我々の間に次々と新しい思いつきがあって、それを付け加えて。たぶんそこまでは、なかなか大手だと対応してもらえないんじゃないかな。
河辺:
もちろんね、できるできないとかっていう判断は必要なんですけれども、あとは大工として、工務店としての力量みたいなところもあるのかなとは思います。
清水夫 :
それが構造的にできないっていうのはもちろん理解するんだけど、なんか面倒くさいからできないとか、なんかやりたくないのか。ちょっとそこはね、僕らにはわからないので。
清水妻:
サービスの提案も、段階的に(リフォームする)といった提案もすごく良くて。うん。
やっぱりほら、わからない人がね、家を作ろうとしてるから、アドバイスとかいただいて。
河辺:
結果的にうまくいったのかな。
清水妻 :
すごくうまくいったと思う。
なんかもうこっちもほらね、河辺さん、むっとするときもあったしね。
河辺:
いや、そんなことないですよ。
清水夫:
これリフォームの見積もり8回ぐらいやってますね、たぶん。そのたびに追加になってちょっと微妙に変わったり、あったと思いますけど、なんかそういうことも我慢強く待ってもらいました。
2階LDK:間仕切り壁をとってキッチンを明るく広く。造作収納で使い勝手よく
清水夫:
リビングのこの壁の色なんかね、もう最後の最後まで待ってもらっちゃって。
河辺:
これはよかったですよね。すごく良かった。この内窓とも合いますね。

リビングの壁の一面には、粘土塗料を塗りアクセントウォールにしました。
断熱を高めるため木製サッシの内窓をつけています。

リフォーム前
清水夫:
これは良かったですね。すごい。
(キッチンの側面の)ここの壁もね、キッチンカウンターと同じとかね。
清水妻:
そう、合うように河辺さんがキッチンの側面を黒に塗ってくれて本当によかった。
河辺:
一般的にはサイドパネルをここに貼るんですよ。でも、そこはもったいないからね。ここまでできれば繋がりですっきりしちゃった方がいいなと思って、黒に塗りました。

キッチンもアクセントで2か所、粘土塗料で色を変えています。こちらの色がお気に召して、システムキッチンに。
レンジ、トースター、炊飯器、コーヒーメーカーのためのスペースを造作でつくりました。
清水妻:
本当にぴったりやしね。本当にこれは使い勝手がいい。この、電子レンジ置き場。
清水夫:
こういうのは意外というかね、食器棚もね、レンジ置き場も、上(吊り戸棚)もやってくれるのは、ありがたいです。

清水妻:
細かい造作、得意とされてるんですよ。本当に狭かったから、普通の規定のサイズのものではここはものすごい狭い動線になっちゃうしね。
河辺:
その分、ちょっと、カップボードがちっちゃくなっちゃって。でも、奥行が小さくなっちゃったってのはあるんですけど。それがやっぱり大きいですよね

カップボードもワークスペースとのバランスを見て奥行を決めています。
清水妻 :
キッチンの長さもね、すごい迷ったよね。どこまでシステムキッチンにするかをすごく迷って。ちゃんとカウンター材とか搬入できるかどうか、大変やったしね。だから、この長さにしてちょうどよかった。
全部なんかね、本当にもうキッチンはこの大きさにして良かったです。
河辺:
そうですね。ワークスペースになる部分がね、狭いかなって感じるかどうか、微妙なところがあって。
ワークスペースを広げたいので、その分、全長が大きくなりましたね。
1階の洗面所:女性ならではのご要望に応えるため既製品+造作に

女性が多いため広い洗面所をご所望。「2人並んで使いたい」「カウンターが濡れない水栓にしたい」「ニッチ、三面鏡が欲しい」などのご希望にお応えしました。

清水妻 :
三面鏡すごい頑張ってくれたそうですけどね。
最初はそこ1枚ガラスでさみしかった。三面鏡に絶対にしてくださいって。
河辺:
そうですね。三面鏡を作るのは初めてだったんで、どんなもんかなと思って。
本当に、私的には楽しんでやれました。
清水妻:
洗面所こそ、これまでのノウハウを(提案してくれて)、ここに窓付けてくれる、ここは棚にするとかおっしゃって、本当に良かった。棚はこれぐらいの幅でも2段3段にしておいてと。何かね、わー違う(と思いました)。
その前にもっと大変なことがあって、あそこね、上に下に変な子があったんだよね、
河辺:
こういうね、土台が上がっちゃってるんですよね。
(注:1階の床は変則的で土台より床が下がってる部分がありました)
清水妻:
それをうまく吸収したり、配管もね、もしかしたらうまく端っこに隠すことができるかもしれないと言ってくださって。
河辺:
いろいろ問題があったり、僕的には細かいことをやるのは簡単なことをやるよりかは大変なんですけれども。
ただそれよりも、やはり「こうしたい、ああしたい」っていうふうに提案してくれることがすごい助かるんですよね。
僕が住むわけじゃないし、何がお客様が好きなのかって結局、わからないじゃないですか。
僕はいろんな引き出しは持ってるけれども、どうしたいかっていうのはわからない。
今回みたく、「こうしてみたい、ああしてみたい」っていうのをいろいろ言ってくれるっていうのは、すごい助かりますよね。
清水夫:
洗面所に凝縮されてるけど、なんか、(娘たちは)髪の毛洗いたいみたいですし、一番大きなシンクにしたいけど、そのとき、まさか台をね。一番安い既製品を買って、シンクだけ持ってきて、あとは作り込むっていう、その発想がなかなか出てこないよね。

ご希望に合うシンクを使うため洗面台をフルセットで購入し、シンクだけを使用しました。
清水夫 :
シンク壁面からシャワーヘッドが出てる、あれも良かったよ。
清水妻:
河辺さんも、これからほら若い女の子もいるね、お宅とかで、そういう(機能的な洗面所の)提案できますよね。すごい必要だって。
そこに私もやけど、30分は絶対いるから、結構女子の家にはもうめちゃくちゃ重要。
河辺:
そうですね。シンクもこの壁に水栓が出てるってのはやっぱりいいですよね。
清水妻:
うん。あれにして本当によかったと思うんですよ。あの大きさでよかったと。みんなあんなちっちゃい洗面台でどうしてはるの?
河辺:
そういうものと思って皆さん使われてるんですよね。
清水妻:
やっぱ大きさがちょっと。歯磨きぐらいしかできない。
河辺:
そうですね。だからよく実験室にあるようなこんな四角いでかいシンクをつけるようなおうちも、あったりしますけどね。
清水妻:
調べると、よく出てくるのがそれ。実験のやつがね、うん。
河辺:
あれもね、実際にはもうね、一応販売は終了してんですよね。
清水妻:
そうなんだ。
河辺:
だから、もう在庫で持ってる会社がどのくらいあるかなって感じなんですよね。
1階浴室:1坪タイプに広げ、土間を調整して天井の高さも確保

間仕切りを45センチほどずらして広げたことで、1坪のお風呂を採用できました。
清水妻:
お風呂は、天井があんなに高くなるっていう期待してへんかったから、めっちゃ嬉しかった。
最初は、1メーター80ぐらいにしかならないという話だったので、2メーターになったんで。
河辺:
結果的には土間をそこまでギリギリのところまでほじくれたので、普通の一番高いやつではないですけどね、設定としては2番目ぐらいの高さなんすけど、標準的な天井高にはなったんで。
清水妻:
なんか1616(ユニットバスのサイズ1坪仕様)の部分で、天井の高さとか最初取れないってことだったんですよね。
清水夫:
そやね、お風呂と洗面所はそこにこだわりましたよね。
清水妻:
確かに、あとはもうお風呂もすごいみんな気に入ってて。
河辺:
そもそも、1216という狭いタイプのお風呂が元々あったわけなので、それを1坪タイプにできたってのはやっぱ大きいですよね。
清水夫 :
そういう意味では、リフォームで目指した生活はそれですね。本当に家内の、一番長くいる人のわがままを、ここに全部詰め込んでる。
玄関:ドアの交換と門扉周りのリフォームで利便性アップ!

新しい玄関ドアをカバー工法で取り付け、電子錠を採用。
河辺:
玄関周りとか最後にやりましたけど、どうでしたか?
清水夫:
やっぱ変えてよかったと思うし、うん。あと、ポストもね、うん。宅配ボックスにしてね。

ポーチは門扉を解体撤去。自転車をスムーズに入れられるようにしました。
タイル補修し、宅配ボックスを設置。
清水妻:
あの門をとりはずして良かったね。
清水夫:
本当やはりすごく開放的で、綺麗に切って、タイルでちゃんと補修してくれて。
清水妻:
あれはかっちゃんがやらなくてよかったよね。はい。あれよかった。

清水夫:
玄関ドアの電子錠、スマホ対応がすごく評判。
LIXILのなんかスマホ対応でちょっと、10万20万上がったんでしょうけど、あれがすごくね、子供たちが、鍵の開け閉め忘れても誰でも行けるし、私はキーホルダータイプで、はい。
清水妻:
あれの方が簡単じゃん。

河辺:
一応カバンから出さなきゃいけないんでしたっけ?
清水妻:
キーホルダーはね、でもスマホはちょっと反応が遅くて、そうなんです。すぐ開いてって思うときに開かない。
河辺:
せっかちですよ(笑)
清水妻:
キーホルダーでぴぴとあけ!(笑)
清水夫:
玄関は良かった
清水妻:
玄関って、広さは別にかえてないもんね。そうですね。うん。
河辺:
下駄箱を取っただけなんでね。
清水妻:
うん、下駄箱とってよかったね.
河辺:
そいで、ご主人が収納をつくってくれたので。
清水夫:
希望通りで、また河辺さんの作品を汚さないように、できるだけ丁寧に
河辺:
いやぁ、美しい仕上がりですよ。
清水妻:
だってあそこに最初ね、ああやってつけてくれって言ってたんですよね。そんな幅が入らないみたいなだからね
河辺:
よくあそこに扉をつけたりとかして、玄関収納をやったりするわけですけども、そこはあえてね、コストをかけないで、やったっていうのは、それはそれでいいんじゃないかなと思うんですよね。
清水妻:
あれに扉ついてたら入ってないと。
河辺:
そうなんですよね。結局、扉をつけることによって有効スペースが狭くなっちゃうんで。
※既存であった玄関脇のクローゼットの扉を外し、棚を細かく入れることで下駄箱に変更しました。
清水妻:
玄関の窓も二重サッシにしたことで、結露とかなくなったから服とかかけれるし
河辺:
そうですよね。あれ1枚ガラスのまんまだとちょうどあの服が、窓に触れちゃうと、結露しちゃって大変なことになってましたね。
清水妻:
大変だってね、結構カビだらけになるし、それは良かったと思いますね。

河辺:
あと、おばあちゃんのスペース、下のデッキとかは、有効活用されてるんですか?
清水妻:
有効活用にはなってないかもだけど、布団が干しやすくなったと。自分でほら一旦下がって、降りてたからあの場所が嫌いだったし、地面ジメジメっていうか、なんかはい。湿気ぽくて、あんまり良くなかったもんね。すごく良くなった。

おばあちゃんが出入りしやすいように掃き出し窓からバリアフリーでデッキを新設。
お隣との目隠しを杉材で設置しました。
河辺:
今日くらいの小雨のときってどうですか? 雨とか結構床がべちゃべちゃになるのでは?
清水夫:
そんな変わんないですね。先端の方も全然うん。問題ない。
清水夫:
そう。まだ出歩いてっていう感じでもないけど。
清水妻:
まだカーテンも落ち着けてないし、でもないって違和感も感じないんだよ。
うん、まぁ、ここだけはちょっとつけようかなとまぶしすぎるので。
清水夫:
夏は暑いんですよ、朝から10時ぐらいまで。
後編へ続く。
後編では、つくり家工務店とのフルリフォームはどうだったのか、感想を率直にお話ししただきまました。
Comments